ムラサキヘイシソウ Sarracenia purpurea L. は、サラセニアの1種で、この属ではもっとも広範囲に分布する。太短い壺状の捕虫葉をつける。

特徴

多年生の草本で、袋状の葉をつけ、虫がその中に落ちる落とし穴式の食虫植物。葉は円筒形で、まっすぐには立ち上がらず、斜め上に伸び、長さは30cmほどで径は5-10cmになる。葉色は緑に紫色が乗り、また網目状に紫の筋模様が入る。日当たりが悪いと紫が出にくい。筒状部は太い袋状で、腹側(内側)に幅広い翼がある。筒状部の先端にある蓋は、大きいが直立しており、口を覆うようにはならない。蓋の形は腎臓型、長さは2-5cm。

花茎は高さ15-70cm、花弁は長さ3-6cm、幅は1.5-2.5cm、萼は長さ2-4cm、幅1.5-3.5cm。花弁は中央が左右からくぼんだバイオリン型をしており、色は桃色から淡紅色、暗赤色などだが、まれに黄色のものがある。

名称

和名は上記の通りだが、園芸面などで学名仮名読みのサラセニア・プルプレアも広く用いられる。ちなみに英名はやたらに多く、上掲のようなものがあげられている。ちなみに pitcher plant はヘイシソウ属一般の英名である。

分布

北アメリカの東岸全域、五大湖周辺から北はカナダに跨る分布域を持ち、これはこの属の分布域としては最大である。

下位分類

本種はこの属のタイプ種であり、また分布も広く、変異も大きい。大まかには北方のものは小型で緑が強く、南方のものは大型で赤みが強いと言われる。 以下の2亜種に分けられる場合がある。

  • S. purpurea
    • ssp. purpurea:北方系の亜種で、分布域はニュージャージー州以北。葉が硬く、全体に光沢があり、蓋の部分が葉全体の1/3以下。
    • ssp. venosa:ニュージャージー州以南に分布。葉が柔らかでふっくらした形で、蓋の縁は波打つ。また、外面に毛が多い。

これらには葉色が紫にならないものなどの変種も知られている。

利用

観葉植物として栽培される。特に本種はこの属の中では北方まで分布するもので、耐寒性が強い。日本には明治時代中頃に渡来した。広く流通しているのは上記の亜種で言えば ssp. purpurea の方、つまり北方系の系統である。

出典

参考文献

  • 『園芸植物大事典 1』(1994)、小学館
  • 本田正次他監修『原色園芸植物大圖鑑』(1984)、北隆館
  • 近藤勝彦・近藤誠宏『カラー版 食虫植物図鑑』(2006)、家の光協会
  • 田辺直樹『食虫植物の世界 魅力の全てと栽培完全ガイド』(2010)、(株)エムピージェー
  • 土居貫文『ネペンテスとその仲間たち 食虫植物ハンドブック』(2014)、双葉社

ムラサキ科

たのしい万葉集 紫草(むらさき)を詠んだ歌

ムラソイ(2015.06.25) WEB魚図鑑

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