『第17回NHK紅白歌合戦』(だいじゅうななかいエヌエイチケイこうはくうたがっせん)は、1966年(昭和41年)12月31日に東京宝塚劇場で行われた、通算17回目の『NHK紅白歌合戦』。21時05分 - 23時45分にNHKで生放送された。
出演者
司会者
- 紅組司会:ペギー葉山 - 歌手。『くらしの窓』ホステス役。
- 白組司会:宮田輝 - NHKアナウンサー。
- 総合司会:石井鐘三郎 - NHKアナウンサー。
- 応援団
- 紅組:南田洋子(この年のテレビドラマ『横堀川』の河島多加役)、藤岡琢也(同じく『横堀川』の式屋四郎(番頭ガマ口)役)
- 白組:長門裕之(同じく『横堀川』の八田吾平役)、晴乃チック・タック
- テレビ中継:北出清五郎 - NHKアナウンサー。
ペギーは前年まで歌手として12年連続出場していたが、この時代の紅白では司会と歌手の兼任が原則認められていなかったため、歌手としての出場は前回でストップした。他に候補としては樫山文枝(この年の連続テレビ小説『おはなはん』のヒロイン)、倍賞千恵子(同作の主題歌を歌唱)、水の江瀧子、南田洋子、金井克子、横山道代、ミヤコ蝶々らが候補に挙がっていたという。白組司会は5年連続で宮田が担当。石井は総合司会としては史上最多の12度目の担当となったが、今回限りで降板する。司会者の発表はペギーからオファー承諾の返事を受けた翌日の10月21日で、例年より1ヶ月ほど早かった。
出場歌手
紅組、 白組、 初出場、 返り咲き。
- 前回の出場歌手の中より今回不選出となった歌手は以下。
- 紅組:坂本スミ子・仲宗根美樹・弘田三枝子・ペギー葉山・雪村いづみ
- 白組:植木等・克美しげる・ジャニーズ・東海林太郎・ボニージャックス・三橋美智也・森繁久彌
- 森繁は「紅白はこれまで年忘れの座興と心得、小生はお付き合いして参りましたが、最近ではギャラ吊り上げの道具などという噂があります。そうしなければならない人に席を譲ってあげぬと、年寄りが憎まれることになりますので、折角の内示がございましたが、本年からは辞退することと致します」と皮肉を込めつつ出場を辞退。スケジュールや体調の問題ではなく、番組に対する考えのもとで出場を辞退した実質的な歌手第1号はこの時の森繁である。森繁はこの後も出場歌手としては一切出演することはなかった(応援ゲストでの出演はある)。
- 三橋はこの年、妻の自殺未遂や離婚のスキャンダルが発生し、辞退する。
演奏
- 紅組:ステージ - 原信夫とシャープス・アンド・フラッツ(指揮 原信夫)、オーケストラボックス - 東京放送管弦楽団(指揮 菊川迪夫)
- 白組:ステージ - 宮間利之とニュー・ハード(指揮 宮間利之)、オーケストラボックス - 東京放送管弦楽団(指揮 片山光俊)
- 総合指揮:藤山一郎
審査員
- 坂本朝一 - NHK芸能局長(審査委員長)
- 樫山文枝 - 女優。この年の連続テレビ小説『おはなはん』のヒロイン・浅尾はな役。
- 五代利矢子 - 評論家。『こんにちは奥さん』レギュラー。
- 浜美枝 - 女優。映画『007は二度死ぬ』アジア人初のボンドガール。この年に日本ロケが行われた。
- 山崎豊子 - 作家。この年のテレビドラマ『横堀川』の原作者。
- 大佛次郎 - 作家。翌年の大河ドラマ『三姉妹』の原作者。
- 尾上菊之助 - 歌舞伎俳優。この年の大河ドラマ『源義経』の主人公・源義経役。
- 加藤芳郎 - 漫画家。
- 鶴ヶ嶺昭男 - 大相撲・前頭。
- 地方審査員16名
主なゲスト
- 野村昭子 - 『おはなはん』のお徳役。
- 二木てるみ - 同じくひろえ役。
- 由美かおる - 金井克子の応援。
- 原田糸子 - 同上。
- 砂川啓介 - 当時の『おかあさんといっしょ』のたいそうのおにいさん。
- 松竹歌劇団(SKD)
- 渥美清
- 藤村志保 - 『三姉妹』のおるい役。
- 石坂浩二
大会委員長
- 浅沼博・NHK放送総局長
当日のステージ
- いきなり冒頭の入場行進で、植木等が紅組へ行こうとするギャグが見られた。
- 島倉千代子「ほんきかしら」はオリジナルでは男性コーラスがつくが、男女対抗のコンセプトに触れないために、朝丘雪路・倍賞千恵子・金井克子・田代美代子がバックコーラスを担当した。
- 「おかあさんといっしょ」の体操のおにいさん・砂川啓介が前半終了とともに登場。出場歌手・観客と一緒に体操を行なったが、最後に「もう一度腕を大きく上げて」と指示したあと、「白組バンザイ!」と叫んで締めた。対する紅組側はSKDの踊り子によるレビューダンスを披露した。
- マイク真木はジーンズを履いて出場したが、これに対して「作業着で歌う歌手を紅白に出すのか」と抗議が寄せられ、NHKの前田義徳会長の意向もあって以後マイク真木は紅白へ出場せず、大人気だったザ・タイガースが翌年紅白へ出場できなかった。
- 紅組が優勝した(通算8勝9敗)。
- 本放送はカラー放送であるが保存されておらず、白黒VTRのみが現存している。カラー写真はペギーのオープニングでの宣誓シーンなどが現存。
- 今回使用したマイクロホンは、司会者・歌手用共にSONYとNHK放送技術研究所の共同開発コンデンサーマイクC-38Bの原型のSONY C-38(BTS呼称、CU-2A)。
後日譚
- ペギーは翌年の第18回は産休中のため、紅組司会続投はならず(ペギーの紅組司会は今回1度限り)、最終的にペギー降板後に『ファミリーショー』のホステス役を引き継いでいた九重佑三子に紅組司会に交代。
脚注
注釈
出典
参考文献
- NHK『テレビ50年 あの日あの時、そして未来へ』(NHKサービスセンター 2003年2月)
- 合田道人『紅白歌合戦の舞台裏』全音楽譜出版社、2012年12月15日。ISBN 978-4-11-880178-0。
関連項目
- 1966年の音楽
外部リンク
- NHK紅白歌合戦公式サイト
- 第17回NHK紅白歌合戦 - NHK放送史
- NHK総合「紅白歌合戦」 - ビデオリサーチ。1962年(第13回)以降のテレビ視聴率を掲載。
- 紅白歌合戦曲順リスト | NHK


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