海東郡(かいとうぐん)は、愛知県(尾張国)にあった郡。

郡域

1878年(明治11年)に行政区画として発足した当時の郡域は、下記の区域にあたる。

  • 名古屋市の一部(中川区・港区の各一部)
  • 津島市の全域
  • 愛西市の一部(善太新田町、大井町、落合町、北一色町、須依町、佐屋町、内佐屋町以東および町方町、草平町、鷹場町、西川端町以東)
  • 清須市の一部(上条・土田・廻間および新清洲の一部)
  • 弥富市の一部(善太町)
  • あま市の全域
  • 海部郡大治町・蟹江町の全域

歴史

平安時代後期に海部郡が東西に分割された。分割された当時の東西の郡境は二之枝川(現在の三宅川から善太川へと流れた木曽川の派川)であったと推測される。海東郡は大江忠成が治めた。

室町時代には一色氏が分郡守護とされたが、後に室町幕府によって没収されている(1391年 - 1430年)。江戸時代に入ると、海西郡との郡境は佐屋川へと移った。

近世以降の沿革

  • 「旧高旧領取調帳」に記載されている明治初年時点での支配は以下の通り。●は村内に寺社領が存在。(108村)
  • 明治4年
    • 7月14日(1871年8月29日) - 廃藩置県により、名古屋県今尾県犬山県の管轄となる。
    • 11月22日(1872年1月2日) - 第1次府県統合により、全域が名古屋県の管轄となる。
  • 明治5年4月2日(1872年5月8日) - 愛知県の管轄となる。
  • 明治初年 - 日光埋田外新田が日光新田に合併。(154村)
  • 明治6年(1873年) - 小家村が改称して鷹居村となる。
  • 明治9年(1876年)(156村)
    • 津島村の一部が分立して向島村となる。
    • 津島町方新田の一部(上中地・下中地)が分立して中地村となる。
  • 明治11年(1878年)(146村)
    • 12月20日 - 郡区町村編制法の愛知県での施行により、行政区画としての海東郡が発足。「海東海西郡役所」が津島村に設置され、海西郡とともに管轄。
    • 松下村・服部村が合併して正治村となる。
    • 南神守村・北神守村が合併して神守村となる。
    • 依田村・須賀村が合併して須依村となる。
    • 納屋山新田が江松村に、又吉新田・杁先新田が津島村にそれぞれ合併。
    • 津島草平新田が海西郡草平新田を合併して草平新田となる。
    • 日光新田が分割して下切村・中一色村・宇治村・諸桑村に合併。
    • 落合新田が分割して下切村・中一色村・宇治村に合併。
    • 鬼頭新田が分割して下切村・中一色村・宇治村に合併。
    • 大切戸新田が分割して遠島村・沖之島村に合併。
    • 大野新田が改称して大野村となる。
  • 明治14年(1881年) - 今宿村が分割して東今宿村・西今宿村となる。(147村)
  • 明治17年(1884年) - 福田新田が分割して東福田村・西福田村となる。(148村)

町村制以降の沿革

  • 明治22年(1889年)10月1日 - 町村制の施行により、以下の町村が発足。(2町48村)
  • 明治23年(1890年)
    • 10月1日(2町39村)
      • 安松村・遠島村・沖ノ島村が合併して宝村が発足。
      • 秋竹村・桂村・川部村・下田村が合併して井和村が発足。
      • 伊福村・鷹居村・下ノ森村・徳実村・鯰橋村が合併し、改めて伊福村が発足。
    • 12月17日 - 金賀木村が改称して蜂須賀村となる。
  • 明治24年(1891年)4月1日 - 郡制を施行。
  • 明治39年(1906年)7月1日 - 以下の町村の統合が行われる。いずれも新設合併。(2町10村)
    • 七宝村 ← 宝村、井和村、伊福村
    • 美和村 ← 正則村、蜂須賀村、篠田村
    • 甚目寺村 ← 甚目寺村、萱津村、森村、春富村、新居屋村、東今宿村、白鷹村
    • 蟹江町 ← 蟹江町、西ノ森村、須成村、新蟹江村
    • 永和村 ← 千秋村、大井村、神島田村
    • 神守村 ← 百高村、益和村、神守村、越治村、野間村
    • 佐織村 ← 諸古村、藤浪村、草場村、勝幡村、川淵村
    • 佐屋村 ← 佐依木村、八幡村
    • 富田村 ← 万須田村、赤星村、戸田村、豊治村
    • 南陽村 ← 福田村、茶屋村、福屋村
  • 明治43年(1910年)10月1日 - 甚目寺村の一部(廻間)が西春日井郡清洲町に編入。
  • 大正2年(1913年)7月1日 - 「海東海西郡役所」の管轄区域をもって海部郡が発足。同日海東郡廃止。

行政

海東・海西郡長

脚注

参考文献

  • 「角川日本地名大辞典」編纂委員会 編『角川日本地名大辞典』 23 愛知県、角川書店、1989年3月8日。ISBN 4040012305。 
  • 旧高旧領取調帳データベース

関連文献

  • 後藤三郎『海東郡史談』海東郡教育会、1893年。NDLJP:764910。 

関連項目

  • 消滅した郡の一覧
  • 海西郡 (愛知県)

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